2012年5月28日月曜日

東京大学 公共政策大学院 就職


今回は東京大学の公共政策大学院の就職事情について書きます!

◆まず入学者の3割(約30人)は国家公務員になります。
そのうちの一部は修士一年の時に国1に合格して、そのまま官庁訪問をして、大学院二年次から在学の身分のまま働きだします。この場合は、一年の時にできるだけ単位をとっておき、二年では働きながら、定期的に学校にこなくても単位が取れる卒業論文を書いて卒業を目指すことになります。
多くは、修士二年次に国1に合格して官庁訪問を行います。このコースの友人達は、経済学コースを除き、修士一年の時から予備校とダブルスクールをしていた人が多いという印象です。また、中には一年で留学に応募・合格しておいて、国1合格後の二年の秋から留学し、三年の春から官庁訪問をしようと計画している人もいます。東大の公共政策大学院は留学プログラムが大変充実しているので、グローバル化時代の国家公務員となるためにも、積極的に留学に挑戦して頂ければと思います。

◆ここから留学生や社会人学生を除いた全体の5割(約50人)は民間就職をします。
一番多いのは金融系でJICAJBIC、メガバンクに就職していく人が多いという印象です。次に多いのがIT系でNRI、イトクロ、DeNA等に内定者を輩出しています。また、三菱商事、三井物産などの総合商社にも毎年3名ほどの内定者を輩出しています。商社内定者には留学経験者が多いという印象です。
投資銀行・コンサルティングファームは毎年5人程度で、僕が知る限り、マッキンゼー、モルガンスタンレー、ATカーニー、デロイト等への内定者を輩出しています。外資系に内定した先輩方・友人には留学経験があったり、大学の三卒者であったりと、学業に真剣に取り組んできた方々が多かったという印象です。

 最後に、まだまだ少数ですが、オアシスソリューション(水・環境ビジネス)ウイングル(福祉・雇用ビジネス)ボーダレスジャパン(シェアハウス・フェアトレード)などのソーシャルベンチャーに就職していく学生もいます。起業家精神を持った公共政策大学院生の活躍にも期待したいと思います!あとベンチャーではありませんが、事業創出を通して社会問題を解決するという点ではパソナも面白いと思います!

※番外編①「政策秘書」
 民間就活終了後、将来の政界進出を視野に入れて受験する人も。内容は大卒区分の国1の選択(教養)+専門記述(公共政策)といった感じです。興味のある人は「政策秘書 試験対策」のエントリーをチェックしてみてください!
※番外編②「就活のアドバイス」
 真剣に大学院で勉強した人は強い。積極的に課外活動に取り組んだ人は強いという印象です。肝心なのは、院の勉強をきちんとやりながら(ここ重要。反省も込めて。)、課外活動にも積極的に取り組むこと。最後に、個人的におすすめの課外活動として、アントレプレナー道場をあげておきます。あと個人的に、イトクロの事業創出インターンは泣くほど(?)本気になれるおすすめのインターンです!
※番外編③「NPO」
 政策NPOで自分の問題意識に沿った活動をしておくことも将来につながるのではないかと思います。政策提案・実行型のNPOとして、言論NPOをあげておきます。
※番外編④「問題意識」
 国家総合職試験の院卒区分(法律系)で受験する公共大学院の学生は、院ではほとんど法律(憲民行)を習わないため、独学もしくは予備校での勉強を通して法科大学院の学生と法律の点数を競っているのが現状です。例えば、ロースクールの学生には法務区分を中心に受験してもらうようにし、公共政策の学生には公共政策を記述の選択必須にするなど、更なる試験方法の改善が必要なのではないでしょうか。公共政策は書籍等が十分になく勉強しづらいので、司法試験のように、国家総合職試験の記述式試験も採点の講評や出題意図等を公表すべきと思います。
※番外編⑤「専門職大学院」
 日本の専門職大学院の教育と実務や就活が結びついているのかと、ロースクールの友人と話していて思うことがあります。公共政策大学院の場合は、公共政策を活かせる仕事を公務員以外にも増やしていきたいと思います。また、公共政策自体もまだまだこれから発展していくべき学問分野だと思います。大学院では経済学が中心だと感じましたが、経済分析から立法までを横断して考える授業や、様々なケーススタディーを留学生も交えて議論していくような授業もあって良いのではと思いました。あと、医師の専門職大学院もできていいのでは。大学を卒業して働いた人が、三年くらい集中して勉強して医師になれる環境があれば、医師不足の解消や個人の働き方の多様化に繋がるのではないでしょうか。更に言えば、海外で活躍する日本の弁護士、医師、政策専門家をもっと増やしたいとも。EPAの人材面で日本は守るだけでなく、攻めていく視点も重要だと思います。

◆関連:公共政策大学院2011年度修了者の進路
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/news/2012/05/news20120525.htm
◆関連:東北ボランティア
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
◆関連:Global Leader
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2012/06/blog-post.html
◆関連:政策秘書 試験対策
http://ksi-lucky.blogspot.kr/2012/09/blog-post.html
◆関連:キャンパスアジア(留学)
http://ksi-lucky.blogspot.kr/2012/09/blog-post_28.html
◆関連:靖国・領土問題に関する議論(留学生活)
http://ksi-lucky.blogspot.kr/#!/2013/05/blog-post.html
◆英語ロジの世界←大臣等政務の随行で海外で仕事をする際に重要だと思うこと。
https://ksi-lucky.blogspot.com/2018/09/blog-post.html
◆関連:国家総合職試験対策
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html

2012年5月17日木曜日

日中韓FTA、日本は外されるか?

日経ビジネスに『中韓FTA、「日本外し」の衝撃』という記事があったので、自分なりにコメント!
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120510/231854/

  少し前韓国で選挙があったけど、与党が勝った。韓国のアメリカよりの外交政策が今後大きく変わるとは思えない。日本とも緊密な連携を必要とするので、韓国としても日本をおざなりにするとは考えにくい(防衛協力が6月までに日韓で締結される予定。個人的にFTAは経済政策であると同時に外交政策と完全にセパレートなものではないと思う)。
また、韓国が北朝鮮の問題を解決するために親中路線に舵を切ったという見方は右派与党のセヌリ党が政権を握っていて李大統領が統治にあたっている現在では考えにくい。

 経済面では確かに韓国には日本を外すメリットはある。ただ、日本とASEANは既にFTAを結んでいるわけで、中国と韓国だけがずっと日本外しをしても影響はたかが知れている。
また、中韓だけでは東アジアに日米を中心とするTPPに代わる経済体制を構築することは難しいはず。中韓にTPPに対抗したいという思惑があるなら、日本とも協力して東アジアのFTA体制構築を目指すべきではないか。

 僕の立場は日本は東アジアFTAの枠組みにもTPPの枠組みにも参加することで戦略上の選択肢を広げ、両者の枠組み作りの交渉の場で強い交渉力をもてるようになるべきだというもの。 アジアの経済体制がアメリカor中国で分断されるのは望ましくないし、それは日本だけでなく韓国も同じように考えているはず。
 最後に、現在のトレンドは日本vs中韓というより、日中韓連携促進の方向なのではないかと思う。

◆関連記事
日韓防衛協力について
http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/11071/
日中韓の国際交流促進について
http://japanese.joins.com/article/098/152098.html
集団的自衛権行使に向けた憲法解釈の変更提言
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS06036_W2A700C1PP8000/
防衛協定の締結延期について
http://japanese.joins.com/article/663/154663.html?servcode=200&sectcode=200

◆最近思ったこと
 上にあげた防衛協定は延期となった。この背景には韓国側が中国に配慮したということ。また、過去の歴史に起因する日本に対する警戒感が強かったということがあげられると思う。最近日本は中国と尖閣の課題が浮上してきているし、韓国との防衛協力も頓挫し、ロシアも北方領土での活動を活発化させている。民主党は現在、憲法9条の解釈変更を検討している。なかなか東アジアの国際関係は緊迫化してきていると思う。
 安全保障の問題をコントロールするためにも、一人一人が落ち着くことが大切だ。俺も安全保障についての勉強を進めながら、自制心を持って現実と向き合い、課題の解決策を模索していきたい。お互いのプライドがかかることでもあり、領土問題については、国際法や歴史を持ち出して法的に解決するには限界があるのではないか。ロシアと中国のように交渉により領土問題を解決することを、日本ももっと推進していくべきではないか。そのためにも、俺たち一人一人が自国に対する誇りと共に相手の国の方々の誇りにも配慮する国際感覚を身に着けていくことが必要だと思う。
 なかなか大変だが精進あるのみ!まずは中国政治のレポートがんばれ俺。

◆まったく関係ないけどmove like jagger

2012年5月16日水曜日

東京大学 公共政策大学院 入試対策(国際政治、国際法)


公共政策大学院の入試で一番比重が高いのは筆記試験だと思います。そこで、基本戦略は筆記以外の評価項目はできるだけ早い段階に準備し終えて、試験前2カ月くらいは筆記試験対策に集中することです。ここでは、各評価項目の対策方法、合格時の自分のスペックを記入していきたいと思います。僕もトッフルの点数などの目安がわからず不安だったので参考になれば!

TOEFL ibt(トッフル)
僕の場合は83点。一説によると、僕の代(2011年入学組)の合格者の平均は60点とのことです。留学に関心がある人は留学の条件が90-100点なので、入学前に90点前後の点数をとっておくと後が楽だと思います。僕の場合はプレゼンスというトッフル専用の塾に3年の冬に通って、早めに点数を取っておきました。話せない人はできるだけ外国人と会話して耳と口を鍛えること。話せても読解が弱い人は単語を覚えて、公式問題集を解きまくることをおすすめします。あとはBBCなど無料の英字新聞を読む習慣をつけるとか。ディベートが得意であれば多少英語そのものに苦手意識がある人でもトッフルは高得点をとることができると思います。

◆成績
僕の場合は優率6割。面接の印象では、他の合格者に比べ優率は低めな方だと思います。成績は3年の冬までしかカウントされないので、それまでにできるだけ好成績を修めておくべきです。ちなみに法科大学院では優率9割くらいはざら(らしいです)。

◆ステートメント
志望動機、大学院で勉強したいことを具体的に書きます。僕は大学院のシラバスなども参考にしました。
面接の印象から、国家総合職試験を受験した経験や、官僚の方とお会いして公共政策に関心を持った経緯なども盛り込めれば加点対象になるのではないかと思います。
僕の場合は、上記に加え、国際商事仲裁大会の経験(ゼミ)、学生団体の経験、起業支援の経験、外資系コンサルティングファーム(BCG)のインターン経験なども紙面の範囲で紹介しました。

◆面接(ここは筆記試験を通過してはじめて受験することが可能)
「志望動機、大学院で勉強したいこと、卒業後のキャリア」この三つは絶対に聞かれると思って自分の中の答えを明確にしておくべきだと思います。これに加えて、国1を受けた経験やゼミ活動の内容、アジア地域のビジョンなどを僕の場合は聞かれました。上記の三つ以外は個人によって様々なことが聞かれます。パーソナルヒストリーを聞かれた人も!

◆筆記試験(国際法、国際政治)
いよいよ筆記試験対策です。僕は国際法と国際政治で受験しました。得点開示の結果は国際法(93)、国際政治(60)でした。僕が受験した時の国際法の論点は「対抗措置」と「宇宙法」。体系的な理解が問われる論点と見落としやすい論点が問われています。ここからわかることは「体系的にしっかり勉強してこい」という東大のメッセージ。国際政治はグローバルガバナンスについての問題でしたが、難しかったです。

・国際法
アルマの教科書、条約集、判例百選だけで十分です。僕は教科書を試験2か月前から一日一回は通読することを日課としました。また、過去問を参考にして論点カードを200枚くらいつくり暗記しました。さらに、教科書の中で出てくる条文や判例にはマーカーを引いて、できるだけ原点(条約集、判例集)を確認する習慣をつけました。

・国際政治
藤原先生の国際政治を教科書にしながら、できるだけ古典や田中明彦先生など東大の先生が書いた本を読むように心がけました。これに加えて主要国の通史や外交史を読みました。教科書と各国の通史はカード化(200枚ほど)して暗記しました。早稲田の政経の図書館にこもって国際政治の古典を読み漁ったのは、大学時代の数少ない学生らしい(?)思い出の一つです。
国際政治では主要理論の構造を理解(リアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズム)すること、歴史を暗記して自分で理論を検証できるようになること(歴史のツール化)、ニュースを見て自分なりに理論や歴史を駆使して国際情勢を分析することが大切だと思います。僕はツイッターなどで気晴らしに国際情勢を分析してつぶやいたりしていましたw

以上です。最近の後輩を見ていると、僕たちの代より学識レベルが上がってきているようです。僕が大学院の勉強を本格的に開始したのは行政職で受験した旧国1に失敗した5月の半ば頃からです。今回、国家総合職試験で不本意な結果に終わった方も、そうでなく受験する方もエンジンをかけて勉強して是非、入試を突破していただければと思います。ファイト!

※将来のことも考えた受験科目とは?
 僕は国際法、国際政治で受験しましたが、国家総合職試験の法律区分を後々受験することを考えれば、国際法、行政法で受験するのがベストだと思います。もしくは経済職を見越してミクロ、マクロで受験するなど。公共政策をやる上で経済はかなり重要だと感じています。
※どのような教科書を選ぶべきか?
 教科書の選択はかなり大切な要素だと思います。東大の公共政策大学院を受験するなら、東大の公共政策大学院で教えている先生の本を教科書に採用して勉強するのが近道でしょう。
※国際政治の教科書は?(捕捉)
 僕が受験した時の問題は飯田先生の教科書をベースに勉強しておけばときやすかったという話もあります。藤原先生の教科書に加えて参考にしてみてはいかがでしょうか。
※最後に
 当記事は短期間で僕のブログで一番閲覧されている記事に成長しました。閲覧してくれた方、どうもありがとうございます!見事合格を勝ち取ってくださいb
※国家総合職試験を終えて
 省庁の内定者の中には公共政策大学院の出身者も法科大学院の出身者もいます。法科大学院出身者で司法試験と国家総合職試験にダブル合格している人もいます。法学部出身の方で大学院進学希望者はどちらの大学院に進学するかよく考えて見ると良いと思います。試験だけでいうと、法科大学院の出身者が合格しやすく、官庁訪問になると公共政策大学院の学生が合格しやすいという印象です。公共政策大学院の良さは留学の機会や経済を実践的に学ぶ機会があり、政策を日々議論できる環境があることです。法科大学院の良さは司法試験と公務員試験の勉強が重なっており、まじめに勉強すればダブル合格を目指せることでしょうか。

◆関連:公共政策大学院の就職事情
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2012/05/blog-post_28.html
◆関連:東北ボランティア
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2012/08/blog-post.html
◆関連:キャンパスアジアプログラム(公共政策大学院からの留学)
http://ksi-lucky.blogspot.kr/2012/09/blog-post_28.html
◆関連:領土・歴史問題に関する中韓の学生との議論(留学先での生活)
http://ksi-lucky.blogspot.kr/2013/05/blog-post.html
◆関連:国家総合職試験(院卒行政区分)&官庁訪問対策
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html
◆関連:個人的にやった方が良いと思う政策
http://ksi-lucky.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html
◆英語ロジの世界←大臣等政務の随行で海外で仕事をする際に重要だと思うこと。
https://ksi-lucky.blogspot.com/2018/09/blog-post.html

◇番外①:面接実況
(入る。いきなり圧迫な雰囲気。)
①志望動機、学習計画、将来の志望を1分で!(超早口)
・国際政治や公共政策についてもっと専門的に勉強したいと思ったからです。
・く、繰り返しになりますが、大学院でも国際政治や公共政策の勉強がしたいです。
・大学院卒業後は行政官として活躍したいです。
②国際商事仲裁大会は個人的に?
ゼミです。
③ゼミは?
「国際取引法、久○田ゼミ」です!!

④国1は受験した?
はい。行政職で受験し、「1点足りず」に一次試験で落ちました。
⑤学部成績ですが、(転部前と転部後のものを指して)二つあるんですね。
は、はい。
⑥卒業できそうですか?
はい!提出には間に合いませんでしたが先学期にほぼ全ての単位を取り終えました。(本当)
⑦なんで人間科学部に?
まちづくりに関心があったからです。
⑧なんで法学部に?
将来、弁護士か行政官になろうと考えていました。いずれにせよ、リーガルマインドが必要だと思ったからです。
⑨まちづくりと国際公共政策の関係は?
・地球環境を守るには持続可能なライフスタイルを実現する必要があります。
・そのために、職住形態も含めたまちづくりを考えていくことが必要だと思います。
・大学院では都市政策の授業も受講したいです。

⑩なんか最近中国とか話題だよね。逆に日本は元気ないって言われるよね。アジアに対してどうすべき?
・質問を確認させてください。
・つまり、今後のアジア地域に対する、日本の戦略は何か、ということでしょうか?
⑪はい。
・問題は、アジア諸国が急速に発展することで資源の取り合いなど、環境制約がタイトになることだと思います。
・そのことが、また、安全保障上の緊張を高めることにも繋がっています。
・日本としては、「新しい産業」を創っていくしかないのではないでしょうか。
・つまり、日本の強みを活かしてアジア諸国の課題を解決していくことです。
⑫具体的には?アイディアみたいなものでも結構です。
・今関心を持っているのは、「詫び寂び」など、日本古来の文化です。
・シンプルであることに独自の美を見出す価値観は、大量消費社会のオルタナティブたりうるのではないでしょうか。
・また、先ほど申し上げたライフスタイルの変革にも関心があります。
⑬はい。以上です!
(や、やばい・・・)
※全体的に話が飛びまくっていると思います。(反省)
※言葉だけには出ない想い、自分の考え、ここが院の面接では大事なのではと感じました。