2014年6月19日木曜日

ニートになっても世界で戦う

映画、希望の国の一つのシーンが忘れられない。

原発事故が起きた村に残ることを決めた老人は、
息子夫婦にこう言い放つ。
「強いから逃げるんだよ」

この映画は、震災と原発事故に直面した、
三組のカップルを描くことで話が進む。
賛否両論のある映画のようだが、
日本の現状を考えさせられる映画でもあると思う。

少子高齢化により慢性的な財政難が続いている日本。
そこに襲った震災と原発事故。
さらに東アジア情勢の緊迫化など、
余力のない財政状況に追い打ちをかけるかのように、
日本は困難に見舞われている。

いっそのこと成長著しい中国や、
シリコンバレーあたりに移住すべきなんじゃないか。

でも、現地で会話できる語学力はあるのか?
世界で生きていけるだけの稼ぐ力や武器が自分にあるのか?
だいたい移住先で自分の権利が十分に守られるのか?

「強いから逃げられる=移住できる」
これは確かにその通りかもしれない。

ただ、
例えば戦コンでバリバリ活躍する人など一部の人だけが、
世界の好きなところで仕事ができる力を持つ社会は、
理想の社会とは言えないだろう。

IMF危機により財政破綻を経験した韓国では、
国内で失業が溢れ、昨日まで国内で働いていた人の、
少なくない人数の人々が、
アメリカなどの海外に渡ったという。

とりあえずの英会話と、
世界で役に立つ自分の武器を全ての日本人が持つこと。

国内産業の空洞化に対して必死に企業の立地を考えることも大切だが、
日本人一人一人に世界で生きる力を身に付けてもらう政策が、
これから更に重要になるのではないだろうか。

この点では、移民政策(受け入れ)に加えて、
移民政策(送り出し)について真剣に検討していくことも重要だと思う。

ただ、世界で活躍できる力を持ち、
それでも日本に留まって、一歩一歩前に進むという選択も熱い。

※フィリピンの就活事情
先日GRASPPの同窓会で、
フィリピンの元中央銀行マンと話す機会を得た。
こういうとごついおっさんを想像しそうだが、彼は20代後半。
この前銀行をやめて、これからオーストラリアで博士号の勉強をするとのこと。
彼がやりたいのは計量経済学、仕事があれば世界中どこへでも行くという。

フィリピンには彼に加えてエンジニアや会計専門家など、
いわゆる高学歴層だけでなく、そうでない人もとにかく海外で働く人が多いとか。
フィリピンのGDPの2割は海外出稼ぎからの仕送りだそうだ。
ただ、一部の人は中東諸国で単純労働者として働き、
劣悪な環境の下で亡くなってしまう人もいるとか。

彼曰く、海外で働く人が多いキーファクターは、
国内に働き口がないこと。
英語は次の要因ではないかということだった。

彼によると、海外出戻り組の活躍により、
フィリピンでも多くの人が働ける日が来るとのこと。