2016年11月13日日曜日

トランプ大統領とイーロンマスク氏

結果を見るまでどうせクリントン大統領だろうと思っていたけれど違った。
昨日、アメリカ人風の観光客が大挙して歩いていた。
タイ料理屋にも(おそらく)アメリカ人がいた。
ただ、どこか、ヨーロッパの人々のようだと感じた。

トランプ氏は富豪の息子で、アイビーリーグ出身。
若い時に、超高級クラブの会員となるべく会長に直談判をして認められ、
そこで人脈を築き、センスを磨いていった人物。
不動産ビジネスからのしあがり、破天荒な主張で大統領まで上り詰めたのは凄いと思う。

厳格な出入国管理、保護主義的な通商政策、国防費の削減、公共投資の拡大。
今後アメリカでも巻き返しがありそうだけれど、大きな方向性としてはこういう感じだと思う。
クリントン氏とは違い、公共投資の方向性はクリーンエネルギーとかではなく、
壁等の建設を中心とするインフラ関係となりそうだ。

アメリカの財政状況を考えると、内政重視の方向性は一理あると思う。
確か所得倍増計画の立案者の下村治氏も行き過ぎた自由貿易体制に異議を唱え、
国内雇用を守ることこそ政府の役割と言っていたような気も。

ソウル大学ではアメリカから来た留学生が、
アメリカは国外で使っている軍事関係の予算を国内に回すべきだと言っていた。
トランプ氏の主張はそういったアメリカの人々の気分と合致しているのかもしれない。

個人的には、edx等の既にあるMOOC関連の取組を後押ししたり、Free wifiを整備するなどして、アメリカに住む多くの人が安価に良質な教育にアクセスできるようにすること、これを内政重視の政策の一つとしてやるべきではないかと思う。

日本としては、これまでよりも自分たちのイニシアティブで安全保障を維持していく必要が求められそうだし、TPPには逆風が吹きそうだけど、構造改革は外圧に頼らず、自分たちでしっかり進めていく必要がありそうだ。

メディアに関して言えば、意外とトランプの主張も良いところがあるんじゃないか、もしかするとトランプ大統領の可能性もあるんじゃないかというところがもっとあっても良かったのではないか。それが言いにくい雰囲気があった気もするし、スポンサーとかの関係で発言が難しかったのかもしれない。NPO系のメディアとか、より独立して情勢分析ができるメディアが増えていくべきではないかと思ったりもする。

あともう一つ、起業家の時代といった感じの風があるような気もする。
ザッカバーグ氏やイーロンマスク氏が大統領選に立候補したら票が集まるんじゃないか。

特にイーロンマスク氏についていえば、気候変動を解決するためにゼロから自分で、再生可能エネルギーの会社を立ち上げたり、宇宙開発の会社を立ち上げたりして大量のお金と優秀な人材を集めて、ガンガン施策を前に進めたりしており、国家間の交渉ではめちゃめちゃ推進に時間がかかる気候変動という課題に対して、諸外国政府よりも先進的な施策をガンガン進めているようにも思う(COP締結は快挙だと思うけど)。

お金と人材を国境を超えて集めてそれを個人の裁量で使うってのは、これまでの政府の枠組では難しいのではないか。政府の場合は意思決定に関わる主体が多数になったり、採用や予算についてもいろいろと制約があり、思い切った施策をハイスピードで進めるのにハードルがあるような気も。

テラフォーミングや火星の統治機構といった話も、SFだけの話ではないと思ったりする今日この頃。