2017年1月22日日曜日

外国法事務弁護士制度

個人的に興味のある外国人弁護士制度について、昨年7月に検討会の提言が出されていたので、その内容をまとめるとともに、自分の提案も含めて紹介したい。
http://www.moj.go.jp/housei/gaiben/housei07_00013.html

◆現状

  • 海外で弁護士資格を取得した者が、日本で資格取得国の法律についてのアドバイスを、日本のクライアントに日本で直接行うためには、最低限海外で二年間の実務経験が必要。
    (法律事務所で弁護士相手にアドバイスを行うことについての制限は特にない。)
  • 海外での実務経験については、資格取得国の他、日本以外の第三国での経験もカウントできる。
  • 海外での二年間の実務経験と日本での一年間の実務経験を合わせて、三年間の実務経験を持てば、外国人弁護士として登録でき、日本で上記のサービスを行うことができる。
    (第三国で三年間実務経験を積んでも上記の要件を満たせる。)

  • ◆検討会での検討

  • 三年間の実務要件を外しても良いのではないか。
  • 参入できる日本での経験を二年間に延長しても良いのではないか。
  • 実務経験を短縮して二年間としても良いのではないか。

  • インターネットを活用して、海外から日本に対してサービスを提供する場合は、上記のような制限はない。
  • 資格取得国以外の国での経験を重視しすぎているのではないか。
    (例えば、中国で資格を取得した弁護士がアメリカで三年間中国法のアドバイスを行った場合は、上記要件を満たす。しかしながら、日本で三年間同じことをした場合は要件を満たさない。今後日本で働く弁護士であることを考えると、第三国の経験以上に日本での経験を重視しても良いのでは。)

  • 日本のリーガルサービス利用者の保護を考えれば、上述の制限は必要ではないか。
    (国によっては法学部出身者であれば、誰でも弁護士資格がとれるところなどもある。)
  • 諸外国と比較して、日本の外国人弁護士制度の規制は緩い。

  • ◆提案

  • 三年間の実務経験を持たない外国人弁護士の、日本における、資格取得国についてのリーガルサービスを提供することを認める実証を、その弁護士の経歴を知っている企業や個人に対して行うことを認める。
    (一定期間の後、問題がなければ長期的には経歴公開義務だけ残して、実務経験要件は撤廃する。)
  • 日本で海外の弁護士を受け入れることになるので、RCEPなどの交渉を通じて、日本の法曹も海外で、資格取得直後から受け入れられるようになるよう、交渉を行う。