2022年2月18日金曜日

環境外交

環境外交のリーダーはEUだ。気候変動でも海洋プラスチックごみでも、一番高い要求を各国に提示して、環境対策を強力に進めようとする。


アメリカは国内に深刻な分断を抱えている。気候変動の否定派がいまだに約20%を占め、しかも、政治的な力を強く持っている。そのため、政権次第でその方針は二転三転するし、州に応じて環境政策に関する姿勢も大きく異なる。


気候変動の世界でもう一つ大きな力を発揮しているのが中国で、自国は環境対策を急速に進めつつ、アフリカ諸国とも連携して途上国としての立場も主張する。戦略的に非常に有利な立場にあり、発言力は今後とも強化されていくはず。


日本の立場から環境外交のプレイヤーを見た時、気にするべきは、EU、中国、米国、ブラジルが主なところであったが、ロシアの影響力を見落としてはならない。


EUの環境政策は、ロシアからのエネルギー輸入に大きく依存している。そして、ロシアは、自国抜きの形で主導された国際合意を覆す力を持っている。


コロナ後の日本を見ると、残念ながら国力が落ちているように見えるし、これは多くの人が実感していることだと思う。そして、アメリカの力も相対的に弱くなり、国外の問題への関与に割ける余裕が少なくなっていると見ざるを得ない。


元々、マルチの色彩が強い環境外交のフィールドの今後のキーワードは多極化で、中国がより力を持ち、ロシアの影響力についても今以上に考慮することが必要となりそうだ。


また、国だけでなく、政府以外のプレイヤーも極めて大きな影響力を持つようになっている。BTSやグレタさんの影響力は、多くの国の首脳よりも強いし、政府が合意形成に数年かけている中で、多国籍企業や新興企業が環境対策を素早く、着実に前進させている現実もある。


今や、ルールメイキングの主体は政府だけでない。NGO、インフルエンサー、多国籍企業が連携してファストファッションやフェアトレードなど、サステイナブルに関する業界のルールをグローバル構築を主導している。


個人としては、より自由になったとも言える。国際的なルールメーキングに関わる方法は政治家や政府職員だけでなく、NGOや国際企業のCSR部門、もしくは、個人として発信を続けていくなど、より多くの選択肢が広がっている。大切なことは、個人としての力を磨き、やりたいことを追及していくことだと思う。