国際関係における古典的理論であり、
実務の世界で最も幅を利かせている理論であるバランスオブパワー。
単純化を恐れずに言えば、「力が均衡していれば戦争はおきない」というもの。
これを日本の外交政策に適応するならば、中国の外交政策が攻撃的なものになるのを防ぐために、
日米同盟は必要で、もし日本がアメリカから距離をとることになれば、
生じた力の空白に乗じて、必ずや中国の対外拡張政策を招くという結論が導かれる。
そして、これを中国の外交政策にあてはめるなら、
目の前にある沖縄の米軍やアメリカのアジア回帰、
日本の再軍備に向けた動きを前にして、
中国の平和を守るためには、日米側に傾いているパワーバランスをより均衡させるために、
さらなる軍備の増強が必要ということになるだろう。
さらに、これを韓国の外交政策にあてはめるなら、
力の均衡が中国に傾きすぎるのも、日米に傾きすぎるのも、
朝鮮半島の安定という観点からは望ましくないので、
米国との同盟関係を維持した上で、
最大限中国との関係を強化し、
北東アジア地域におけるバランサーの役割を果たしたい
というものではないだろうか。
日中韓の防衛外交政策の実践の傾向は、ある程度、バランスオブパワーで説明できる気がする。
それは良しとしたうえで、
実務家として重要なのは柔軟性だと思う。
理論は理論であり、ドグマではない。
「あらゆる理論は現実の中で検証されなければならない」というリー・クワンユーの言葉を大切にしたい。
特に、日中両国については、何が双方の利益になるかを考えて、
長期的な軍縮の道を探るべきではないだろうか。
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