2012年7月1日日曜日

Clubbing Regulation


皆さんは風営法をご存知だろうか?
これは、飲む・打つ・買うなど風俗に関連する事業を包括的に規制する法律である。

で、この法律によるとクラブの経営には許可が必要で、
許可をとった場合お店の営業は深夜1時がマックスということになる。

つまり、六本木にたくさんあるオールナイトのクラブは無許可営業≒違法だ。
これまでは警察もこの事実を黙認して、クラブの経営を放任してきた。

しかしながら、最近大阪を中心として無許可営業のクラブを摘発する動きが相次いでいる。
この背景にはクラブで発生した殺傷事件や周辺住民の苦情に加え、
クラブと違法薬物や暴力団との繋がりが疑われたためである。

話は変わるけど、僕は香港やソウルが好きだ。
特にオススメは、香港なら蘭桂坊(ランカイフォン)でソウルなら弘大(ホンデ)。
どちらも両都市屈指のクラブ街で地元の若い人や外国人で賑わっている。
この二つの街に共通するのは、エキサイティングで華やかってのもあるけど、
どこかまったりとした自由な雰囲気があること。

安全で安心という価値観も重要だが、
個人的には多少危なくても自由な社会の方に魅力を感じる。

日本は現在、観光立国を推進しようとしている。
日本の新しい産業として観光を推すことは結構だが、
高い物価と円高のなかで海外の人を日本にお呼びするには、
日本にそれなりの魅力があることが必要だ。

観光立国推進基本計画によると、
日本の魅力として料理の美味しさや自然の豊かさが挙げられているが、
果たしてこのために高いお金を払って日本に来たいと思う海外の人がどれだけいるのだろうか?

僕は香港やソウルに行きたいと思うが、その理由として結構なボリュームを占めるのは、
蘭桂坊や弘大に行きたいってことだ。

観光政策の立案においても、こうした人間の本性(?)に注目した立案がなされるべきではないか。

風営法の目的の一つは青少年の健全な育成。
クラブを許可制として暴力団や違法薬物との関係を規制するのは大切だと思う。

しかしながら、現在のようにクラブの経営が深夜1時(風営法第13条)までで、
多くのクラブが1時まででおわっているというていで当局の黙認のもとに経営を行っているのは問題だ。

現在のような状況はクラブ業界への新規参入の妨げになり、
グレーなクラブ経営を誘発してしまっているのではないか?
さらに、クラブが1時で閉まるってのは興ざめもいいところだと思う。

僕が考えるに、
クラブ経営者がきちんとIDチェックを行って未成年の立ち入りを管理し、
政府の許可をとってクラブを経営した場合の問題は、
「クラブ営業が深夜1時までに規制される」ってことだと思う。

この規制がある正当性は、近隣住民の苦情とのバランシングにしかないのではないか。

そこで僕が提案したいのは風営法13条の改正だ。
ここに新しく、「クラブが立地する町の許可を得た場合はその営業を深夜から午前まで行うことを認める」旨の条文を入れるのはどうだろう?この点については、もう少し時間をかけて考えてみたい。

※詳しく書いてない論点
そもそもクラブ営業を規制すべきか、規制すべきとして風営法で規制すべきか、ダンスを規制するのがおかしんじゃないかという議論を立てることも可能だと思うが、それをやるとかなり抽象的な(かつ場合によっては問題を極度に単純化した)議論になってしまうので、ここは政策の観点からできるだけ問題を現実に近づけて考察しようと努力した。もっと作文ではなく政策提言ができる力を高めたい!

※最近思ったこと。
クラブ経営の現状は地方では比較的午前1時までの営業規制に従うところが多く、東京は朝まで営業を行うところが多いというもの。アメリカの場合、州によってクラブの規制方法も異なる。地域住民の利益とのバランシングや都市政策・観光政策を重視して考えた場合、全国一律のクラブ規制の必要性を見直す必要があるのではないか?そこで風営法では24時間の営業を認めた上で、地方ごとの条例により地域ごとにクラブ経営の時間に制限をかける(つまり地域によってクラブの営業時間の上限が異なる)というのが、もっとも実情に沿った解決策となるのではないか。

※警察庁で風営法を所管していた方にお話を伺って思ったこと。
風営法の営業規制の緩和のために必要なのはデータと議員立法。データとしては風営法の規制を緩和しても犯罪件数の増大には繋がらないというデータと、クラブには地域を活性化させるという効果(経済的波及効果)があるというデータが必要。この分野は都市経済学とかでも未開拓な分野のようだ。あと、法改正にあたっては治安の維持のために最低限必要な規制をどう考えるかという国民の合意が必要とのこと。だから、上の二点のデータを踏まえて国民的な合意形成を行っていくことが大事だと思う。

※韓国のクラブ規制
以前は営業時間の制限があったが、現在は営業規制は撤廃されたとのこと。

※ユーロモニターの観光客数ランキングによると、香港やシンガポール等のクラブやカジノ等のナイトライフ産業を積極的に振興している国は上位5位以内にランクインしている。ちなみに日本は28位程度。

参考①:弁護士に聞く、クラブと風営法
http://www.factry.co.jp/floornet/145/c1-5.htm

参考②:風営法条文
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO122.html

参考③:観光立国推進基本計画
http://www.mlit.go.jp/common/000208713.pdf

参考④:クラブとまちづくり、海外の事例
http://jp.residentadvisor.net/feature.aspx?1518

参考⑤:Let's Dance署名委員会
http://www.letsdance.jp/

参考(?):"I Like" by Klass & Bodydangers