2017年11月5日日曜日

キャッシュレスとビットコイン

◆混雑するお昼のオフィス街
昼休みのオフィス街は混みますね。昼休みの時間を分散させてはと思わなくもないのですが、レストランはまだしも、コンビニやATMにも長い行列ができているのは社会人なりたての頃、結構引いたりしていました。

◆日本のキャッシュレス化の現状
最近メディアでもよく取り上げられていますが、日本の現金比率は諸外国と比べて高くなっているようです。これには、現金への信頼性の高さとか、至るところにATMがあっていつでも引き出せるいう利便性の高さとかが効いているようです。諸外国は日本ほどATMがなかったり、小銭が嵩張ったりといったことから上記の点で劣り、キャッシュレス化が進みやすい素地があったと言えるかもしれません。

◆世界のキャッシュレス化に向けた取組
それはそうと、インドのように、高額紙幣を廃止したり、政府のサービスを電子決済で行う場合は割引としたり、韓国のように、コンビニと連携してお釣りを電子マネーで返すようにするなど、本気でキャッシュレス化に取り組む国も出てきています。また、ベーシックインカムの実証を電子マネーで行うという案もあるようです。

◆キャッシュレス化に向けた最近の動向
日本でも、ラインペイのチャージがセブン銀行でできるようになったり、ロイヤルがキャッシュレス型の店舗をオープンする事がニュースになるなど、少しづつキャッシュレス化が進んでいる感があります。キャッシュレス化が進めば、AmazonGoのように、レジに並ばずにお店から商品を持ち出すだけで自動で電子決済を行える店舗や、バイクシェア等のシェアエコ関連のサービスが日本でも更に広がるなど、生産性向上や持続可能な社会の実現に繋がる変化を後押しすることが期待できると思います。

◆電子化した円と仮想通貨
そして、キャッシュレス化が進んでいくと、円やドル等、既存の通貨と仮想通貨の境は、結構、曖昧になってくるのではないかと個人的には思います。電子化した円と仮想通貨を比べてみた際の、仮想通貨のメリットは、①財政破綻のリスクが少ない②カントリーリスクが少ない③外国で使用する際の両替が不要という点などではないかと思います。他方、仮想通貨のデメリットとして、電気を大量に使用することがあげられますが、これは、人工光合成等の実現により、発電コストを大幅に下げていくことで今後クリアできる可能性もあると思います。

◆エコポイントと仮想通貨
加えて、エコポイントの付与を仮想通貨で行うようにしたりすると、キャピタルゲインも期待できて、エコ家電割引とかよりも個人的にはもらった時嬉しいかなと思います。また、オリンピックと絡んで、ファンから選手へのクラウドファンディングとかも文化として広がっていくと面白いのではないかと思います。引き続き、キャッシュレス化や仮想通貨について勉強していきたいと思います。そして、キャッシュレス化の進展により、お昼のコンビニ行列が日本から一掃されることに期待したいと思います。

※韓国では年間50億円程が硬貨製造に使われていて、2020年を目標に硬貨廃止に動いているとか。日本の場合、造幣局の予算は年間150億円程。キャッシュレス化を進めて、浮いたお金を社会保障等の財源に回すのは個人的にはアリだと思います。
https://fintechonline.jp/archives/101190
https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/review/2016/27002200_zaimusho_shiryo.pdf

2017年6月10日土曜日

Next Strategy

入省三年目。
関わってきた案件もようやく一区切りがついた。

法律や閣議決定文書など、
それぞれのチームが抱えているプロジェクトを成立させるため、
毎年それぞれの戦いが繰り広げられている。

役職があがってくれば政治との調整事項が増え、
役職が低ければ、誤字脱字やコピーといった、
紙との血みどろの戦いが地味に熱く繰り広げられていたりもする。

政党の重要な会議の直前にミスが発覚して、
総員でコピーをやり直したり、
誤字を修正したコピーの束を抱えて官邸までダッシュしたりと、
客観的には地味だけど当事者にとっては決死の日々もようやく終了。

現在思う事は、
・マクロなどをマスターしてPCとのバトルを優位に進めたい
・英語は地味に武器になる
・閣議決定文書含め紙文化を改めipad等の電子紙面の活用を徹底させたい
の三点。

特に、各種の会議で使う文書には会議直前に一字の誤字が発見されて、
そのために数十万円くらいのお金と労力を使って、
コピーを死ぬ気で数百部やり直すということが至る所で発生していると思う。

紙文化を改めて、会議の出席者にipadを配り、
元ファイルさえ変えれば一発でそれが全員に行き渡るみたいなシステムにすれば、
絶対予算も節約できて、効率も各員の精神状態も大幅に向上させられるはず。
なんならipad600台くらい用意しても必ずもとがとれると思う。
システムを変えれば新たなリスクも出てくるけど、
その対応策は必ずあるし、やっていけばなれてくるはず。

早く、俺が若い頃は死ぬ気でコピーやり直して官邸までダッシュしてたもんだ的な、
昔話ができる時代を実現したい。
公共政策を勉強していた頃は見えなかった、
地味だけどかなり深刻な改革の種みたいなものも見えてくるこの頃。

平和な夏に力を蓄え、次の戦いに備えたい。

※参考:個人的にやった方が良いと思う政策
https://ksi-lucky.blogspot.jp/2016/09/blog-post.html

2017年4月2日日曜日

パリ協定における中国の存在感

トランプ政権が温暖化対策に対する後ろ向きな姿勢を示している。
欧州ではイギリスのEU離脱にむけた交渉が始まり、
フランスの次期大統領となる可能性があるルペン党首は、
EUからの脱退を掲げている。

2009年の時点で、環境物品の輸出ランキングは、
1位ドイツ、2位中国、3位アメリカ、4位日本であった。
https://www.insightnow.jp/article/5753
アメリカがパリ協定に対して後ろ向きな姿勢をとり、
欧州でも離脱国の増大等の混乱が続けば、
今後の気候変動関連の国際交渉でプレゼンスを示すことは難しくなるのではないか。

その時、世界の環境政策で発言権を持つ可能性が高いのは中国だ。
中国は国際的にも競争力のある風力発電施設や太陽光発電施設を、
製造する技術力と産業基盤を既に有している。
しかも、AIIBはアジア諸国を中心に多くの加盟国を有しており、
AIIBを活用して中国主導で、
アジア諸国への環境関連投資を促進していくこともできるのではないか。

日本はどうであろう?
日本において環境・エネルギー政策を考える際の基本は、
環境・エネルギー産業を振興する視点(縦軸)と、
日本の製造業に安価で安定した電力を供給する視点(横軸)であると聞いた。
この二つの視点は重要であるが、ともすると、相反する方向性を持った軸のようにも思える。
この両面に配慮した政策を行った場合、
日本の環境・エネルギー産業の国際競争力を中国以上に高めることはできるのだろうか。

つい数年前まで、中国のPM2.5が大きくニュースで取り上げられていた。
北京政府の動きは早く工場等から排出される汚染物質に対する
規制と罰則を即座に定めるとともに、
首長の業績を評価する項目に環境を明確に位置づけ、かつ、環境の取り組みが悪ければ、
他の項目でどれだけ業績を上げていても罰するという思い切った政策を打ち出した。
中国においては、法の執行に課題があるという声もあるが、
上記のような中央政府の姿勢、既に世界第2位の環境産業輸出額を誇っていること、
AIIBなど自国の環境関連技術の輸出促進にも活用可能な基金を有することなど、
現実を直視すれば、日本は世界における環境政策の競争において、
既に中国の後塵を拝しているのではないか。

対立軸を乗り越えるためには、トップダウンの強い意思も必要なのではないか。
環境政策の国際競争において、日本は中国に遅れをとっているという危機感を持って、
今後の政策を考えていきたい。
また、中国をライバルと捉えつつも、
環境分野で日中そして韓国が連携できるような枠組を考えてみたい。

(更にいうと、ソウル大で会った中国のクラスメートは環境政策の博士号を取得するために、
ハーバードに進学した。自分の周りで、環境政策の博士号をとるために、ハーバードに進学したのは、その中国人の学生だけである。環境政策関連人材の層の厚さという観点でも、
日本は中国に遅れをとりつつあるのではないか。)

パリ協定で動き出す再エネ大再編
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%91%E3%83%AA%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%81%A7%E5%8B%95%E3%81%8D%E5%87%BA%E3%81%99%E5%86%8D%E3%82%A8%E3%83%8D%E5%A4%A7%E5%86%8D%E7%B7%A8-%E4%B8%96%E7%95%8C3%E5%A4%A7%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%A7%E4%BC%B8%E3%81%B3%E3%82%8B%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%82%92%E8%A6%8B%E6%A5%B5%E3%82%81%E3%82%8D-B-T%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E4%BA%95%E7%86%8A-%E5%9D%87/dp/4526076953

接続性の地政学
https://www.amazon.co.jp/dp/4562053720

2017年1月22日日曜日

外国法事務弁護士制度

個人的に興味のある外国人弁護士制度について、昨年7月に検討会の提言が出されていたので、その内容をまとめるとともに、自分の提案も含めて紹介したい。
http://www.moj.go.jp/housei/gaiben/housei07_00013.html

◆現状

  • 海外で弁護士資格を取得した者が、日本で資格取得国の法律についてのアドバイスを、日本のクライアントに日本で直接行うためには、最低限海外で二年間の実務経験が必要。
    (法律事務所で弁護士相手にアドバイスを行うことについての制限は特にない。)
  • 海外での実務経験については、資格取得国の他、日本以外の第三国での経験もカウントできる。
  • 海外での二年間の実務経験と日本での一年間の実務経験を合わせて、三年間の実務経験を持てば、外国人弁護士として登録でき、日本で上記のサービスを行うことができる。
    (第三国で三年間実務経験を積んでも上記の要件を満たせる。)

  • ◆検討会での検討

  • 三年間の実務要件を外しても良いのではないか。
  • 参入できる日本での経験を二年間に延長しても良いのではないか。
  • 実務経験を短縮して二年間としても良いのではないか。

  • インターネットを活用して、海外から日本に対してサービスを提供する場合は、上記のような制限はない。
  • 資格取得国以外の国での経験を重視しすぎているのではないか。
    (例えば、中国で資格を取得した弁護士がアメリカで三年間中国法のアドバイスを行った場合は、上記要件を満たす。しかしながら、日本で三年間同じことをした場合は要件を満たさない。今後日本で働く弁護士であることを考えると、第三国の経験以上に日本での経験を重視しても良いのでは。)

  • 日本のリーガルサービス利用者の保護を考えれば、上述の制限は必要ではないか。
    (国によっては法学部出身者であれば、誰でも弁護士資格がとれるところなどもある。)
  • 諸外国と比較して、日本の外国人弁護士制度の規制は緩い。

  • ◆提案

  • 三年間の実務経験を持たない外国人弁護士の、日本における、資格取得国についてのリーガルサービスを提供することを認める実証を、その弁護士の経歴を知っている企業や個人に対して行うことを認める。
    (一定期間の後、問題がなければ長期的には経歴公開義務だけ残して、実務経験要件は撤廃する。)
  • 日本で海外の弁護士を受け入れることになるので、RCEPなどの交渉を通じて、日本の法曹も海外で、資格取得直後から受け入れられるようになるよう、交渉を行う。