2016年1月23日土曜日

■国会待機のコストは年間7億円!?

◆入省9ヶ月の雑感
入省して9ヶ月がたった。
役所の一年目の仕事はゲームのようだ。
与えられる膨大な単純作業をいかに迅速にミスなくフレンドリーにこなすか。
これは意外と楽しい。まだまだ未熟だけど。

◆国会待機のコストは7億円?
今回は国会待機について書きたい。
国会待機というのは、国会議員の先生が質問を出すまで役所に残っていることをさす。

もう少し説明すると、国会で野党の先生が出す質問に大臣がなんと答えるか、
その原稿をつくるのが国家公務員の大事な仕事の一つ。
なので、野党の先生の求めに応じて政策のレクチャーを行ったりもする。
そして、野党の先生から質問をもらうまで待機して、
質問をもらったら大急ぎで上司などとも相談して答弁を作成し大臣にレクチャーをして国会に備える。

この国会待機、議員の先生によっては夕方くらいに出してくれるので夜くらいには答弁の業務を完了することができる。
だけど、夜の12時くらいまで質問を出さない先生もいて、
どこに質問がでるかわからないので全省の窓口の職員が待機することになる。
こころみに、そのコストを計算してみたい。

役所の定時は18時15分。定時に帰る人はほとんどいない。
ここでは、仕事を効率的にこなして帰れる時間を21時とおく。
そして、質問が出るまで、24時まで待機するとする。
国会待機は基本的に週2回。そして、部局で待機する人数を20人。(本当はもっと多い気もする。)部局の数を10、省庁の数を12とする。
残業代は1時間1500円とする。

1500円×3時間×月8回×6ヶ月×20人×10部局×12省庁≒5億1千800万円(1)

ここまで書いた後で同期と雑談してたら、タクシーもあるんじゃない?という話になった。
たしかに、24時とか(23時でも)に質問がきたらタクシーはほぼ確定だ。
ここでは24時からさらに3時まで残業して、
タクシー帰りは週1.5回、部局でタクシー帰りになる人を5人。部局の数を10、省庁の数を12とする。
更にタクシー代は5000円とする。

(1500円×3時間+5000円)×月6回×6ヶ月×5人×10部局×12省庁≒2億500万円(2)

以上より、国会待機のコストは年間、
(1)+(2)≒7億円
と推計される、と思う。

◆国会待機をなくすことは可能だし、なくすべきだと思う
イギリスでは国会答弁に関するルールが徹底されていて国会待機はないという。
日本では、国会待機によって、帰れても残ってるコスト、終電までに帰れるはずなのにタクシー帰りになってしまうコストが年間7億円くらい発生してるんじゃないか。
これは財政の観点からも問題だし、公務員のワークライフバランスの観点からも問題だと思う。

一応現在でも国会答弁に関するルールはある。
しかし、それが徹底されていない現状があるのもまた事実だ。

行政改革や財政改革の「いの一番」の実効的な改革として、
国会議員の先生方には是非国会質問をルール通り遅くとも国会前日の夕方くらいまでにはだしてほしい。

ういた7億円はどう使うか?2億円くらいは国債の返済にあてて、
残りの5億円は新たな保育園をつくることに活用するのはどうだろう?
少子化は日本の将来を考えた上で解決すべき重要な課題であり、
長時間労働の慣行を見直していくことは、
日本の生産性を高めていく上でも大切だと思う。

国会議員の先生方は遅くとも国会審議前日の定時(18時15分)までに質問を出す。
行政官はできるだけ素早く仕事に取り組んで国会前日でも終電で帰る。
そして、浮いたタクシー代等を原資として一つでも多くの保育園を創る。
以上、推論は荒いし、提案も一案にすぎないけれど議論のたたき台になれば幸いです。

※補足①
公務員一人あたりに振り込まれる給料に換算すると月約4万円(タクシー代は除く)。
残業代が月4万円減るのは正直痛いが、
残業代は待機ではなく、普通に忙しくバリバリ働いたときに出ればよいと思う。
(事実、役所の仕事は忙しい。)
だけど、時には定時ペースだぜと思える日でも待機で24時近くまで、場合によってはもっと長く待機となることもある。
日本全体で考えるとこれはもったいないし、諸外国と比べても是正できる問題だと思う。
年間7億円というのは、国の借金や予算額から比べると大きくない額かもしれないけど、
一個人の感覚としてはかなりでかい。まずはここから、「行政改革」を実現していくべきではないだろうか。

政治家にとっても、公務員にとっても、一般の人々にとってもプラスになる国会答弁の準備作業のやり方にはいかなるものがあるのか?
ここは、もっと改善と議論の余地があり、かつ改革も可能でインパクトもそこそこ大きい分野だと思う。

※補足②
省内での答弁印刷体制の改革もポテンシャルがあるような気がする。特に総務課の一年生は全ての答弁がセットされるまで残っていて最後に30分くらい印刷して、スキャンして、配布するという仕事がある。これを例えば次の日の早朝とかに出勤してやってもよいとか、改善の方法を考えていきたい。(ミスがおきてはいけないので難しいかもしれないけれど。)あとは、ipadによる会議。最初は色々とハードルがあるかもしれないけれど、必ずコスト削減に繋がるはずなので是非実現できれば・・・!