2013年1月1日火曜日

将棋vs象棋の尖閣問題?


あっという間にソウル大学での一学期が終わり、
冬休みである。

寮の生活とは楽しいものだ。
将棋、チェス、象棋(シャンチー。中国版の将棋)、
日本から来た後輩や中国からの留学生とのバトルが熱い。

さて、将棋やチェスにはその国の軍事思想があらわれていると思う。

将棋の最大の特徴は、前線で戦略物資を調達できること。
攻めて敵のコマを取れば、そのコマを使って更なる攻撃に繋げることができる。
これが、劣勢からの逆転を可能とさせるゲームの要素で、
将棋ファンを魅了させる一つのポイントだ。
しかし、これを実戦にあてはめると、補給軽視であるとか、奇襲重視だとか、
なかなかリスキーな体質を生むことにも繋がるのではないだろうか。

尖閣問題でいう公務員の駐在は、将棋で言うと、「持ち駒の投入」にあたると思う。
硬直した状況に対処するための一手としては手堅い。
しかし同時に、外交的には更なる挑発と受け止められかねず、
「戦闘開始」のゴングともなりかねない。

対する中国。象棋ではどうか。
象棋には防御という発想が乏しい。
将棋で言う囲いの陣形もなく、
友人も言っていたが、「攻撃が最大の防御」である。
象棋をプレイしてみると、
初手から「砲」と呼ばれる敵のコマを飛び越える飛車や、
「車」と呼ばれる二つに飛車を使っての、
激しい攻め合いが行われる。
要するに、やらなければやられるという世界である。

将棋と象棋。守りの一手が先手の初手と解釈されれば、
なかなかリスキーな展開になりそうだ。

ただ、現実の世界では、
僕が接した中国の留学生たちは
基本的に大人しい子が多かったし、
実際話してみるといいヤツが多かった。
これは韓国の学生でも同じで、
儒教の影響なのか、ソウル大学で出会った中韓の学生は、
温厚で懐が大きいという印象である。
対する、僕や後輩など日本勢は武士の国なのか、
気概というか、尚武の気を尊ぶ傾向にあるように思う。

日本の指導者には勇ましい発言をする方々が多いが、
中国や韓国の指導者層が同じく尚武の気風を重視するかどうかは、
日本の状況の類推だけからは判断できない。
武士道より、儒教の影響を見るべきではないだろうか。

尖閣問題については、
先占の法理は日本の武器になると思うが、
双方の事実認識と法律論があるのが訴訟であり、
ICJに問題を持ち込んだ場合には、
敗訴のリスクも一定程度覚悟せざるを得ないだろう。

尖閣は地政学上の要所だと思う。
今実行支配しているこの地を、
ICJに持ち込むことで敗訴リスクを抱えるのは賢明な選択だろうか。

同時に、中国における日本企業の活動や日中貿易も重要である。
領土問題をこじらせて再度の大規模なデモを誘発することは、
国益に叶う選択だろうか。

実行支配した上での棚上げの意義は、もう一度見直されてよいと思う。

最後に、日中双方の未来のためには、
両国の人々が双方の立場を理解し、
穏健な判断ができるようになることが第一歩であると思う。
キャンパスアジアプログラムに参加させて頂いた学生の一人として、
微力ではあるが力を尽くしていきたい。

新華社
http://jp.xinhuanet.com/2012-09/25/c_131871899.htm
外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html

おまけ
象棋の遊び方
http://www2.tba.t-com.ne.jp/xinlamian/zhongguoxiangqizoufa.html
コンピュータとの象棋対戦
http://www.4399.com/flash/48747_1.htm

※最近後輩と話していて思ったこと
 日本の学生に気概のようなものがあると思われるのは、部活の影響もあるのかもしれない。
 海外の学生と日本の学生を比べると、語学など、弱い部分が目につくことが多いが、チームワークとか気合みたいなところは結構、日本人学生の強みなんじゃないかとも思える。中韓では部活はあまり盛んでなく、基本的に大学受験の勉強や語学の勉強中心とか。日本の部活は問題点もあるのかもしれないが、かなり重要かつ日本教育の特徴となっている部分だ。
 ちなみに、韓国では兵役が、日本の部活の「代わり」として機能していると考えることもできると思う。(兵役の方が確実にハードだと思うが。)

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