2013年3月21日木曜日

中国と民主主義

◆中国の民主化?
日米両政府にとって中国の民主化は重要な外交目標と授業で習った。
一方、中国の人々は民主化についてどう考えているのか?
中国の学生と議論してみた。

◆まず、中国の問題は汚職である。
例えば、中国ではアパートを買うとき、家をもっていない人には低い税率が適用され、
家を既に所有する人にはそれより高い20%の税金がかかるという制度がある。
しかし、官僚と富裕層の癒着がしばしば発生し、既に家を所有しているのに、
低い税率で新たな建物を購入する人がいるということだ。
先日も北京で偽造された住民カードを19枚ほど使って多数の建物を違法に購入した人が摘発されたらしい。

※ちなみに韓国では、家を借りる時、1年とか2年とかのまとまった賃料を先払いして、
賃貸契約を解除する時に先払いしたお金を返してもらえるという制度がある。
土地の値上がりを前提に大家さんの投資意欲を喚起させるためにつくった制度だが、
最近土地の値上がりが鈍化してきているという話も。

◆この、汚職という問題はなぜ発生するのか。
自分たちなりに考えてみたのは、
①文化的要因;長い歴史を通して中国では癒着が行われてきており、多少の癒着には目をつぶる傾向がある。
※中国ではビジネスをやる上でも政府や大物との人間関係が重要と言われるが、このへんの事情も関係している?
②制度的要因;司法権の力が党に比べて強くない。また、政権交代の仕組みがないため、権力の浄化を行いにくい。
※党による内部浄化の努力が続けられているが、限界がある可能性も。

◆では、この問題にどう対処するのか。
この点に関して、中国では制限的に民主主義を導入することや、党の中の派閥を活用して政権交代(?)を可能にする方法などが提案されているらしい。
また、中国では、中国の歴史や文化にあった独自の統治機構を創っていこうとする勢いが盛んだということだ。

◆中国版民主主義
地域研究の世界では、「単線的な現代化モデル」は否定されている(らしい)。
また、”人類はまだ最高の統治制度をみつけていないが、民主主義以上に悪くない制度もみつけていない”
って話をどこかで読んだ気がする。
中国の人々が自分たちなりに統治機構の改革に向けて努力する向きは歓迎したいし、
その結果、中国の民主主義が日本や米国のものと多少異なっても良いのではないか。

◆民主主義はいかなる社会条件下で機能するのか
最後に、なんとなく考えてきたことをまとめてみると、
①社会的連帯もしくはある程度の同質性
※歴史と土地に根差した民族が国内に散在している社会では、選挙を行ってもその結果が国というより自分たちの民族を利する政策の選択につながりやすく、民主主義が機能しにくいのではないか。
②国民の平均的な教育水準の高さ
※投票権を持つ一人一人が、財政や外交についての基本を身に着けることが重要なのではないか。そでないと、極度に排外的な政策が選択される可能性や、放漫財政を招く危険性が高くなり、持続的に民主主義が機能することを危うくする可能性も。
③法による民主主義のチェック
※時には多数が誤ることもある。大きな決定を下すときには、それが拙速になされるのを防ぎ、あまりにも正義等の観点に照らして問題がある決定が下された場合はそれを止める力が存在することが、持続的に民主主義を機能させる上で重要なのではないか。その観点から、民主主義体制下では、司法権が多数決の仕組みを監視・牽制できることが重要だと思う。

※少し話は変わって、大陸系の学生と比べて香港やマカオの学生は、
韓国や日本の学生と感覚が近い人が多い気がする。
その繋がりってわけでもないけど、香港を舞台にした映画「天使の涙」に出てきそうな一曲。

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