2013年5月29日水曜日

韓国の中国観~百年後の国際政治を構想してみる

◆外交カードとしての独島、従軍慰安婦問題?
 韓国は中国、日米の間で中立的な立場をとりたい(朝鮮半島統一には中国の協力が欠かせないので)という声は韓国の教授からしばしば聞くこと。
 例えば、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)はアメリカの働きかけにより結ばれようとしたものだが、李明博元大統領はそれをドタキャンした【2012.6.29】。彼はその後、竹島に急遽訪問【2012.8.10】。韓国の新聞は日本の再軍備や歴史問題に対する警戒を指摘する論調で溢れた。竹島、従軍慰安婦等の歴史問題は韓国が日米との間で安全保障面の協力を強化する際の「言い訳」として作用する面があるのではないか。
 もっとも、従軍慰安婦問題の提起(李明博元大統領・野田元首相会談【2011.12.17】)は韓国の憲法裁判所の「不作為の違憲判決【2011.8.30】」に対応したため。独島訪問に関しては、実兄の逮捕【2012.7.11】等のスキャンダルから国民の目を逸らさせるため、もしくはこの全て、と考えることもできる。更に、従軍慰安婦問題等については女性の人権や元慰安婦の方々の救済等、外交上の駆け引きを超えた大義が存在すると思う。

◆韓国の人々の中国観
 韓国の友達の「中国観」を聞いて思うのは、日本とは中国観が違うということ。まず、彼らは「仮に武力紛争がおきれば中国には勝てない」と口をそろえて言う。中国との歴史は日本(元寇来襲や日清戦争で勝利)と韓国(勝ったことはない)では大きく異なる。次に、彼らが言うのは「韓国は明から清、清から日本への権力移行期でつく側を間違ってきた。今回は是非、正しい側を選択したい」と。
 (ちょっと話は変わるけど、ソウルの入国管理局(Immigration Office)には中国人専用のフロアがあったりして、ビザ申請を行おうとするその他の国から来た外国人とは扱いが違う。日中韓の外交官との昼食会で韓国の教授が中国の外交官に妙に低姿勢な発言をしていて違和を感じた時があった。)


◆百年後はインド、いや、真の「アジアの時代」?
 これに対する僕の応答は、「百年後も中国が世界で最大の経済大国だと思うか?」だ。中国は、今後五十年は発展するものの、急速な高齢化等が足かせとなり、徐々にインドに経済的な地位を譲ることになるのではないか。
 インド人の友人曰く「別にアメリカは好きでないが、中国は領土問題を抱えており嫌い。むしろ好きなのはロシア、フランス、イスラエル。」百年先は世界最大の民主国家であるインドの時代だとしたら、今後50年は日米韓同盟を強化して中国の安定的発展とアジアの平和を守り、インドが台頭した後に真の「アジアの時代」を創るという構想を描いても良いのではないか。
 そして、その時に日韓がリーダーシップを取るべきは、環境や厚労分野の社会的課題を率先して解決することだと思う。(技術が得意な日本は環境、儒教精神でお年寄りを大切にする韓国はヘルスケア等、棲み分け?)


◆その他、捕捉
 ※1、アジア派(?)の僕としてはアジア地域の平和は是非守りたい。しかし、同時に、日本の地位や独立も確かなものとして後世に引き継ぎたい。
 ※2、ちなみに、最近、竹中平蔵氏の翻訳により出版された「2052(ランダース)」では、環境問題解決の重要性と中国の政治体制の自由民主主義体制に対する優位性(多少国民が反対しても環境に良い政策を実行しやすい)を指摘していた。確かに、中国人の友人の中にも環境問題に強い関心を抱く者がいる。中国が長期的に発展しない可能性がないわけではない。(中国の高齢化の原因である一人っ子政策は現在、緩和されつつある。)


◆参考
「中国に立ち向かう日本、つき従う韓国」
「2052」


0 件のコメント:

コメントを投稿